君がいた夏はウケ狙いの悪夢の中(ジョー・力一夏まつりボイス2019感想)
劇薬という前評判を聞いて購入した夏まつりボイス。
事前の情報がなければ、 夏恋を期待してウキウキしていたに違いないが…… 違う意味でドキドキしながら再生ボタンを押した。
(以下、毎度のことながらネタバレ感想です。)
トラック1とトラック2の短い台詞で、 近くでお祭りがあることを知る→あまり乗り気ではないが、 彼女の浴衣姿が見たいので行くことにする、 という状況設定を分かりやすく説明している。
ある意味「コント・夏まつり2019」の導入部分のようだ。
「浴衣着んの?行く(即答)」のナチュラルすけべ感が美味しい。
トラック3からは終始「おや……りきいちの様子が……」 と言いたくなる謎テンションなので、 コントという第一印象は間違いではなかったのかもしれない。
そしてお祭り自体も何やら様子がおかしい。
これは……夏まつりエアプな力一さんの妄想……? と思っていたところで、最後にぽつぽつと吐露される心情。
初めて聴いたときはヤンデレ風味にも感じられたけれど、 聴けば聴くほど闇ではなく、ピュアな彼の願いに聞こえてくる。
そして最後まで聴いてからトラック1に戻ると、 台詞の意味合いが違って聞こえる。
今回のボイスは、力一さんと「疑似恋人のあなた」 の物語ではない。
力一さんが作り上げた夏まつりの世界に、「 ファンであるあなた自身」 が引きずり込まれている構図なのではないか。
トラック1でボイス収録をしようとしていた力一さんは、 お祭りの存在に気付いても、実際には外に出ていない。
そもそも「あなた」という恋人も居ない。
お祭りに思いを馳せ、「こんなお祭りだったら嫌だなぁ」 という妄想のまま筆を走らせ、ウケ狙いの悪夢を作り上げて、 そこに名前も顔も知らない「あなた」を招いた。
(ちなみにわたしは前回の記事で触れた、 人をおかしくさせる音声を作る回のりきいちファームを観た直後に 、このボイスを買いました。「ウケ狙いの悪夢」 を存分に味わわされた後なので、 耳を澄ませばケチャが聞こえてきそう……)
あくまで力一さんとファンの関係性なので、 人混みの中ではぐれそうでも、決して手は繋いでくれない。
でも「架空のあなた」という皮一枚を挟まず、直接「あなた自身」 に語りかけてくれているから、 ある意味ではいつもより距離が近い。
「はぐれないで」とどんなに願っても、手を繋いだり、 抱き締めたり、物理的に繋ぎ止めることは出来ない関係。
だけど「はぐれないで」という言葉を伝えれば、素直に喜び「 ぜってぇはぐれねーかんね」と言ってくれる。
彼の作り出す世界を面白がる「あなた」たちの姿に、 幸せを感じてくれている。
そんな彼をいつまでも応援したいと思える、素敵なボイスでした。
トラック6が終わった後、「あなた」はふと目を覚ます。
どうやら力一さんの配信を観ながら、寝落ちてしまったようだ。
夢に力一さんが出てきたような気がするのに、 内容が全く思い出せない。
「めちゃくちゃ面白かったはずなんだけどなぁ……」 とがっかりしながらも、何故だか唇から言葉が零れ落ちた。
「……はぐれないよ。大好き」
視聴後に残った質感はそんな感じ。
わたしの中では劇薬というより、睡眠薬でした。
そんな訳で、次はどうしましょうね……。
最後にやっぱり一言言っておこう。
りきちゃーん!!!!!!!!泣かないでぇぇぇぇぇぇ!!!!! !!!!!!!!